ザガーロ(デュタステリド)への過度な警戒こそが薄毛の本当の敵と知る
こんにちは。
おもてなしスキンクリニックの沢村です。
薄毛治療中、あるいはAGAクリニックに通うかどうか迷っているあなたなら、ザガーロの名前を一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
画像引用元:グラクソ・スミスクライン公式サイトより
ザガーロが男性型脱毛症(AGA)の治療薬として日本に上陸した(厚労省から認可が降りた)のは2016年6月です。主成分はデュタステリドで、「AGA治療薬の中で間違いなく最強(最も生える)」との呼び声高いこのザガーロですが、以下の3つの理由により「服用をお勧めしない」と結論付けたのがザガーロ否定派の意見です。
- 副作用の率がフィナステリドより高い
- 5αリダクターゼⅠ型を阻害する影響が読めない
- 日本と韓国以外で認可している国が無い
とはいえ、発毛する可能性が高いのであればもちろん試してみたいですよね。ザガーロを服用しても副作用が出ない人だって大勢いるわけですから、リスクを回避する方法さえ分かれば飲んでみたいですよね。
そこで、この記事では、
「もしザガーロを飲むとしたら、どうやったら副作用をコントロールでき、かつ、失った髪の毛を取り戻せるのか。」
を主眼において、おもてなしスキンクリニックの宮本先生に解説してもらいます。薬の情報さえ正確であれば怖くないですからね。では参りましょう。
1. ザガーロ(デュタステリド)とはそもそもどんな薬?

先生、まずはじめにザガーロとはどのような薬なのか簡単に説明してください。

ザガーロはAGA(男性型脱毛症)の進行を遅延させる薬です。別の説明の仕方だと「ヘアサイクルを正常化させることで髪の毛の成長を促し毛を太くする薬」という言い方もできます。
ザガーロはイギリスのグラクソスミスクライン(GSK)という製薬会社が販売しているAGA治療薬で、主成分はデュタステリドです。
デュタステリドの効果効能はフィナステリドとほぼ同じで、発毛促進ではなくAGA(薄毛)の進行を遅延させることです。発毛促進が「攻めの治療」なら、ザガーロの服用は「守りの治療」と言えると思います。
発毛剤であるミノキシジルの外用あるいは内服による「攻めの治療(発毛)」をしたとしても、どんどん抜けていってしまっては本末転倒なのです。フィナステリドかザガーロの服用によってまずはAGAの進行を遅延されることが必須になります。

「アボルブ」という前立腺肥大症薬があります。販売元もザガーロと同じグラクソスミスクライン社(英国)で主成分もザガーロと同じデュタステリドなのでザガーロとアボルブは服用した場合の効果・効能は全く同じです。ザガーロを飲むと前立腺肥大症が軽減し、薄毛患者がアボルブを飲むと薄毛改善効果があります。ちなみにアボルブは保険適用が効く薬なので格安で入手できますが、ザガーロは保険適用外薬なので全く同じ成分の薬なのにアボルブの3倍以上の値段がします。あくまで噂レベルの話ですが、前立腺肥大症とカルテを偽ってアボルブを薄毛患者に格安で処方している悪い医者がいるとかいないとか。
画像引用元:グラクソ・スミスクライン公式サイト
1-1 発毛剤じゃないのに発毛するとはどういう原理?

ザガーロは脱毛を予防する薬なのになぜ「最強の発毛薬」と言われているのですか?

AGAは、髪の毛が肉眼で確認できないくらい細くなる病気なので、その細くなっている毛を太くしてあげれば実質的に発毛しているように見えます。ザガーロには毛を太くする効果があり、実質的に発毛しているように見えるのです。
プロペシアという有名な脱毛予防薬があり、ザガーロの効果・効能は基本的にはプロペシアと同じです。
両者の違いは脱毛予防効果です。ザガーロはプロペシアの約1.5倍の脱毛予防効果があるので、ザガーロの処方を希望する患者さんが増えているのが現状です。
1-2 なぜプロペシアの1.5倍もの脱毛予防効果があるのか

プロペシアの1.5倍はすごいですね!でもなぜ1.5倍もの効果があるのでしょうか?

『ザガーロはプロペシアと違い5αリダクターゼⅠ型「も」阻害するから効果が高い』という記事をよく見かけますがそれは全くのデタラメです。そうではなく、血中への滞在時間がプロペシアの1.5倍長いから効果も1.5倍になるのです。
薄毛の原因はジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの一種で、毛包(≒毛根)においてテストステロンという男性ホルモンと5αリダクターゼⅡ型という酵素が出会うことでジヒドロテストステロンが生成され、ジヒドロテストステロンが毛包を攻撃して髪の毛の成長の邪魔をします。これがAGAの原因です。
ザガーロと同種の薬でプロペシアという薬があり、プロペシアは5αリダクターゼⅡ型阻害剤で、一方のザガーロは5αリダクターゼⅠ型およびⅡ型阻害剤です。
画像引用元:https://www.slideshare.net/preethisarun/treatment-of-bph-51555824
これだけ見ると「ザガーロは5αリダクターゼⅠ型も阻害するから効果がプロペシアより高い」と思えるし、かなり有名なAGA専門クリニックでもザガーロはⅠ型を阻害するから効果が高いと公式サイトで堂々と説明しています。
が、これは完全なる誤りです。恥ずかしいので削除したほうがいいと思いますけど、まあそれを置いておいて、ザガーロがプロペシアより優れているのは血中への滞在時間(≒血中濃度)です。
- プロペシア:約24時間
- ザガーロ:約36時間~48時間
プロペシアがの血中濃度半減期が24時間ということは、イメージ的には20時間が経過した頃にはもうほとんど薬の効果は切れているということを意味します。つまり4時間程度は薬の効果は切れているということです。
これに対しザガーロは少なくとも36時間は成分(デュタステリド)の血中濃度が保たれるので、1日1錠服用していれば間違いなく血中にデュタステリドが残り、5αリダクターゼⅡ型を阻害し薄毛の進行を止めてくれます。
2. ザガーロの副作用
そもそも話ですが、5αリダクターゼⅠ型(およびⅢ型)は髪の毛を生成している毛根(毛母細胞)付近には存在しません。髪の毛を作る場所にⅠ型がないということは、当然ながらⅠ型はAGAには関係ないことを意味します。
2-1 5αリダクターゼⅠ型は薄毛には一切関係ありません
ではⅠ型がどこに多く存在しているのかというと「全身の皮膚の皮脂腺」と「肝臓」です。頭皮に関していうと、毛根から遠い毛穴の出口付近にある皮脂腺(あぶらを出す腺)にⅠ型は存在しています。
エビデンス:アメリカ国立衛生研究所
AGAになると頭皮が脂っぽくなるのはⅠ型の影響と言われています。ザガーロによって5αリダクターゼⅠ型を阻害すると脂性(あぶらしょう)が治る可能性はありますが、頭皮の脂と薄毛には因果関係は認めれていません。「ザガーロがⅡ型に加えてⅠ型を阻害するからプロペシアより効果がある」というのはデマなのでご注意を。

念のためアメリカ国立衛生研究所のデータベースを筆頭に世界中の薄毛に関する英語の論文や臨床データを確認しましたが、私が調べた範囲では5αリダクターゼⅠ型が薄毛に関係している、というデータや論文は見つかりませんでした。
2-2 ザガーロの危険性はⅠ型を阻害してしまうことにある

もしかして宮本先生がザガーロを勧めないのは5αリダクターゼⅠ型「も」阻害してしまうからですか?

全くそのとおりです。Ⅰ型は全身に存在していてそれを阻害してしまうことによる人体への影響度合いが読めないのです。欧米ではこれを理由にザガーロの認可がおりないのに、なぜか韓国と日本だけは認可がおりています。国内にⅠ型阻害による臨床データは存在しないのに認可して大丈夫なのかなと心配です。
デュタステリド(ザガーロ)を薄毛治療薬として認可しているのは日本と韓国だけです。
ザガーロの販売元であるグラクソスミスクライン社があるイギリスでも認可がおりていませんし、アメリカで最も国民から信頼されている病院の一つであるメイヨークリニックの公式サイトにズバリ記載がありますが、アメリカでもデュタステリド(ザガーロ)は薄毛治療薬として認可されていないのです(アメリカでは前立腺肥大症の治療薬アボダートとしてのみ認可)。
画像引用元:https://www.holdthehairline.com/dutasteride-hair-loss/
理由は5αリダクターゼⅠ型を阻害するからです。薄毛の原因は5αリダクターゼⅡ型なのに、ザガーロは薄毛とは関係ないⅠ型も阻害していしまいます。
Ⅰ型は肝臓に多く分布していることが分かっていて、Ⅰ型を阻害することで肝臓に悪影響があるかも知れないことが未認可の理由の一つとなっています。
実際にザガーロの重大な副作用として説明書に以下の記述があります。
重大な副作用
肝機能障害、黄疸(頻度不明注1)):AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
肝機能障害はプロペシアでも副作用の一つとして記載されているので、この時点ではそこまで重要視する必要はないですが、先ほども述べたように5αリダクターゼⅠ型は肝臓に多く存在していて、5αリダクターゼⅠ型をザガーロが阻害することによるリスク評価が定まっていません。
5αリダクターゼⅠ型は「肝臓に多く必要だから肝臓に多く存在している」わけです。薄毛とは全然関係ない肝臓の5αリダクターゼⅠ型をザガーロが阻害することによって、肝臓にどのような悪影響があるか医学的に解明されていません。肝臓にとって必要なものを勝手に阻害していいはずがないので、当サイトではザガーロの服用を推奨するわけにはいかないのです。
画像引用元:http://starkscience.tk/nite/avodart-prostate-shrinkage-2812.php
また、肝機能障害以外の副作用率(※)もプロペシアが4%なのに対してザガーロは14%あるのも気になる点です。
※EDや性欲減退、精液量減少など男性機能に関することに集中しています
3. ザガーロの副作用はこうすれば十分コントロールが可能

先生ザガーロ怖すぎます。これじゃあ飲めるわけないですよね。

ちょっと脅かしすぎましたね。すいません。お詫びにこの先は楽しいとまでは言いませんがザガーロの服用に十分に前向きになれるお話をしていきます。ザガーロの副作用は十分にコントロール可能だよというお話です。
ザガーロ(デュタステリド)の副作用率はメーカー公表の数値で14%となっています。副作用の中身は
- ED
- 性欲減退
- 精子量減少
この3つです。ザガーロを服用して5αリダクターゼⅡ型を阻害すると、この3つに深く関与しているジヒドロテストステロンが生成されづらくなるので、ある意味仕方がないと思います。
3-1 ザガーロの副作用発生率は一般薬の1/7程度
ジヒドロテストステロンは薄毛の直接の原因でもあるのでザガーロを飲まないわけにもいきません。ここで考慮すべきは副作用の発生率14%という数値が高いのか低いのかということです。
参考までに、風邪薬や花粉症の薬、それに抗がん剤の副作用率はほぼ100%です。風邪薬や花粉症の薬は「眠気」という副作用が出ますし、抗がん剤だと頭髪が抜け落ちます。
眠気の出にくい風邪薬や花粉症の薬はあるにはありますが、肝心の主作用(風邪の症状を抑える・花粉症を抑える)が弱くなります。
ザガーロはこれら一般的に私たちが服用している薬に比べると、副作用が出る確率はたった14%です。86%の人は副作用が出ないということにもなるので、要は「モノは考えよう」ということです。
ザガーロを飲まなければ薄毛のストレスからは絶対に開放されません。逆にザガーロを飲んだ場合86%の人が正常なままということになり、「あなたはどっちを選択しますか?薄毛のストレスとたった14%の副作用のどっちが怖いですか」ということです。
もっとシンプルに比較するなら
100% VS 14%
です。
飲まなければ100%薄毛は治りません。飲めば副作用は14%の確率で出ますが、副作用がもし出たらその瞬間に服用をやめればいいだけなのでザガーロ服用に関するリスクは実質的にはゼロと言っても過言ではありません。
3-2 AGAクリニックでは副作用をコントロールしてくれます
もう一つのザガーロ服用リスクである肝機能障害もコントロールは十分可能です。
ザガーロはAGAクリニックなどの病院で処方してくれますが、ザガーロを処方するような病院やAGAクリニックだと、普通どこでも定期的に血液検査をしてくれます。
医者はザガーロのリスクは十分承知しており、あなたから何も言わなくても血液検査を勧めてきます。医師が主に見るのはまさに肝機能の値ですから、数値が悪い方向に動けば処方を自動的にやめます。
つまり、あなたが努力しなくてもちゃんとした病院でザガーロが処方されたら、まともな医者なら自分の患者の状態は必ずチェックします。肝機能障害のように重大な病気になることはありません。
4. まとめ
ザガーロには副作用があることは確かですが、宮本先生が解説してくれたとおり、ちゃんとした病院やAGAクリニックで処方されたザガーロならまず心配はいらない、ということがお分かりいただけたと思います。
欧米でザガーロが認可されないのは、欧米が訴訟社会だからです。
ほんの少しでもリスクがあるのなら認可はしない。すべては自己責任で、というのが欧米の考え方なので日本とは状況が違いすぎます。
さらに言うと、医師倫理に関しても日本人医師は欧米に比べて真面目すぎるほど真面目なので、安心してAGAクリニックなどでザガーロを処方してもらってください。
ザガーロがどこで安く手に入るかは以下の記事を参考にしてください。それではまた。
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